9人が本棚に入れています
本棚に追加
「何をするグループなの?」
「何って……。嘘を吐いて楽しむんじゃないのか?」
「さっき、『Liar』のメンバーっていう男子に会ったわ。もちろん貴方もメンバーなんでしょ?」
何気なくそう言うと、双月くんは驚いたように目を見開いた。
「うちの学校に『Liar』のメンバーが? 凄いな。俺は勧誘受けてないよ」
「嘘吐かないで」
「本当だって」
「あんなどこの誰とも知らない男子が勧誘されて、貴方が勧誘されてない訳ないじゃない」
「そんな事言われても……」
双月くんは、困ったように笑った。
その横から、尾上が口を出す。
「そもそも、メンバーだって言ってんの誰だよ?」
「C組の、溝……えっと、溝内?」
「もしかして、溝口か?」
「多分そうだと思うわ」
「お前、興味ないにも程があるだろ。名前くらい覚えてやれよ」
「だって、嘘吐きの集団って言われたら当然双月くんだって加入してるでしょう?」
「だから、俺は勧誘された事ないって……」
そんなの信じられる訳がない。だって、双月くんはこの学校の生徒にとって嘘吐きの代名詞と言っても良い。
反対に、溝口なんて生徒の噂、少なくともわたしは知らない。
「溝口って、去年同じクラスだったよな。怜に張り合って嘘吐いてた」
「溝口くんの嘘は面白いよね。そういう所が『Liar』に気に入られたんじゃないのかな?」
「彼はどんな嘘を吐くの?」
「何だっけな、確かハーバード大学から協力を要請されて化石掘りに行くとか、そんな現実離れした嘘だったな」
「馬鹿じゃないの?」
そんな幼稚な嘘を吐く人間が勧誘されて、双月くんが勧誘されないなんてあり得ない。
だって双月くんの嘘は真実と思わせるほど巧妙だ。
疑いの眼差しで双月くんを見ると、彼は肩を竦めた。
「そんな目で見られても、勧誘されてないものはしょうがないだろ」
「その言葉が疑わしいのよ」
「これに関しては俺も怜の言葉を疑わしく感じるな」
「大輝まで……」
最初のコメントを投稿しよう!