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「え!?」
「という訳で怜はC組です。いってらっしゃい」
興味なさげに手をひらひらと振る尾上を見ながら、頭を抱えたくなった。
まさか、こういう手段に出てくるとは。
双月くんの行動が、わたしを『Liar』に近づけるためなのか、それとも本当に彼自身が『Liar』に興味を持っているのか、まずはそこから判断しなくてはならない。
「……いってきます」
「はいよー」
尾上に見送られ、C組に向かうと、双月くんは溝口くんと仲良くお弁当を食べていた。
クラスの子たちは、その様子を遠巻きに眺めている。
「あ、園崎さん、遅かったね」
「双月くん、貴方、何のつもりなの」
「何のつもりって言われても……。ただ『Liar』に興味があるだけだよ」
そう言う彼の手には、例のカードがある。
「かなりしっかりした作りのカードだ。溝口くんの了承を得て、俺のスマホからQRコードを読ませてもらったけど、どうやらIDとパスワードを入力しないとサイトに入れないらしい」
彼は嬉々としてカードを見つめている。
その無邪気な様子に力が抜けそうになるが、それが彼の手かもしれないと思い、気を引き締める。
「そ、園崎さんも『Liar』に興味があって来たの?」
「いいえ。双月くんを監視に来たのよ」
ジロリと双月くんを睨み付けるが、彼は知らん顔をしている。
「じゃあ、やっぱり……2人が付き合ってるって本当なんだ?」
「嘘よ」
「本当だよ」
溝口くんの問いに、わたしと双月くんの声が被る。
この男はまた淡々と嘘を……!
「双月くん、貴方ね。そうやって嘘を広めていくの止めてくれる? わたしの友達にまで嘘を吹き込んだでしょう?」
「ああ、土曜日デート? 彼女たち、信じたんだ?」
「どうして、わたしが紅茶に凝ってる事を知ってるの?」
「情報収集は君たち探偵だけの専売特許じゃないって事だよ」
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