Liar

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そう言って彼はカードを差し出して来た。 「何?」 「そのカードについて、君なりの考察を聞かせてほしいな」 仕方なくそのカードを受けとり、目の前に翳してみる。 「PVCカードね。確かにしっかりした作りだわ。サイズはクレジットカードと同じ。表面加工まで施してある。刻まれているナンバーは会員ナンバーかしら。ネット上で話題になるほどの組織にしては247番っていうのは少ないわね。全国規模で活動しているにしても、メンバーは小数。誰でも入れる訳ではないっていうのは本当らしいわ。恐らく、メンバーになるのには条件がある。もしかしたら、メンバーからの推薦と製作者の許可がないと入れないのかもしれないわ。どちらにしろ、悪戯にしては手間がかかってるわね」 「園崎さん、凄いなぁ。カード1枚でそこまで推理しちゃうんだ」 溝口くんはわたしの差し出すカードを受けとりながら、感心したように頷いた。 「製作者の許可が必要っていうのは当たっているかもしれないよ。この『Liar』って組織は『Lie』って人物が作ったんだ」 「Lie? 嘘って意味ね」 「サイトを作ったのも、人材を集めているのもおそらく『Lie』だ。ただ、誰も『Lie』の正体を知らない」 「そりゃあ、ネット上での繋がりなら知られてなくても当然じゃない」 「それが、メンバーから聞いた話しだと何度かオフ会をやってるらしいんだ。『Lie』はそのオフ会に必ず参加してるのに、該当者がいないらしい」 「なぜ必ずオフ会に参加していると分かるの?」 「オフ会に来た人間しか知らない事を知っているからだよ! 『Liar』の中では、『Lie』の正体を知る事こそ本当の試練なんじゃないかって言われてるくらいだ!」 顎に手を当て、考える。 オフ会の内容を知っているにも関わらず、該当者がいない。 でも、それは協力者がいれば誤魔化せない事ではない。
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