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内通者がオフ会に参加し、『Lie』に内容を伝える。ただそれだけの事だ。
それを溝口くんに伝えると、即座に否定された。
「俺もそれは考えたんだ。でも、オフ会中にチャットでそれを実況したりするんだって。だから、みんな驚いてるし、『Lie』の正体を知りたがってる」
だとすると。
1番に考えられるのは、『Liar』のメンバーに溝口くんが騙されているって事だ。
なにせ嘘吐き集団。そのくらいの嘘を吐いててもおかしくはない。
しかし、その事を溝口くんに告げる気にはなれなかった。それが真実と決まった訳ではないし、まるで宝物を話すように語る彼にわざわざ言うまでもないと思ってしまったのだ。
こんな感情を持ったのは初めてだ。
いつだって、おかしい物はおかしいと指摘してきたはずなのに。
「とにかく、『Liar』には凄い人物も混ざってるって事だね。あーあ、何で俺には招待状来ないんだろう、参加出来ないなんて勿体ない」
双月くんの言葉に、現実に引き戻される。そして、全くだと思った。
双月くんが招待されれば、彼を見張ったまま『Liar』の捜査が出来るのに。
『Liar』に興味を惹かれるのは良くない傾向だ。ほら、双月くんがニヤニヤしながらこっちを見ている。
やはりこれは、わたしを『Liar』に接近させようという罠に違いない。
「じゃあ、溝口くん。色々教えてくれてありがとう。俺はクラスに帰るよ」
「わたしも行くわよ?」
「え、嘘」
「本当よ」
嫌そうな顔をしている双月くんのお弁当の包みを代わりに持ち、双月くんを急かす。
すると。
「園崎さん! 俺、園崎さんを信じるから! 双月と付き合ってないって!」
「……ありがとう」
わざわざ宣言しなくても良いのに、と首を傾げながら、とりあえずお礼を言う。
そして、双月くんの背中を押しながらC組を後にした。
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