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「お、手作り弁当。新しい女か?」
ドラマ撮影を終え、テレビ局の楽屋で小箱の作った弁当を食べていると、同じ共演者の村本が楽屋に入ってきた。同じ劇団だったせいか、同じ事務所のせいか、はたまた「息が合う」せいか、村本と共演することが多い。
村本は灰垣の弁当を見ると、ブロッコリーを一つ摘み、自分の口の中に放りこんだ。
「あっ勝手に食うなよ」
「んっうめぇ。普通のブロッコリーじゃねぇじゃん。チーズ…ダシぽい味もする。…今度は料理が出来る女と付き合ってるのか。どうせお前のことだから、頭の悪い女を選んだんだろ」
「あのなぁ…。別に付き合ってもねぇし…。あーもー飯食ってるんだからあっちいけっ」
「そうだ、今度一緒に出る映画、再来月に二週間ぐらい海外ロケだって。場所はグアマテラ」
「グアマ…どこだよそれ」
「毎日、二十人は殺害されてるトコ」
「真顔で怖ぇこと言うなよ。あーあ、仕事を選べるぐらい偉くなりてぇなぁ」
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