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俳優業が上手く行きはじめたのは二年前。俺より先に同じ劇団で同期だった村本が有名監督の目に止まり、映画、テレビに出演するようになった。先に売れた村本に嫉妬をしたりしたが、プライベートでも仲が良かった友人が売れることは嬉しかったし、村本自体が売れたので劇団も自然と知名度が上がり、集客が増えた。
次に注目されたのが俺だ。村本は個性派俳優だとしたら、俺は単に「見栄えが良い」タイプの俳優だった。演じる役が違うとは言え、演技力では村本には敵わない。読み合わせも稽古も嫌い、セリフはすぐ忘れる、未だに何故この道に進んだかも分からない。だが、ファンが付き、話を聞きつけた業界人が何度も舞台に足を運んできてくれるようになって、トントン拍子に仕事が舞い込んできた。
今じゃ村本と並んで、名俳優だ。単純に「ツいていた」としか言いようがない。
地位も名誉も金も手に入れた。そして、女はいつの間にか「消耗品」として存在するようになった。
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