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 開けてやる。誰が何のために置いたんだか知らないが、この中身を知らずしてこのまま生きて行く気にはなれない。未来の僕? どうなっているのか想像すらつかない。もし本当に未来の僕が入っているとして、このサイズなら体の一部、腕や足、あるいはより分かりやすく頭部が入っているかも知れない。この場合、「貴方は死にます」ってことになる。顔を見れば、どれくらい未来なのかもある程度推測出来る。  まぁ、『未来の貴方』だからって、本当にそんなことがあるとは、僕だって思っちゃいない。この世にタイムマシンなどないからだ。証拠はこの世界そのもの。もしタイムマシンなんてものがあったとしたら、こんなに平和なはずがない。僕はそう思っている。 「ふ。こんなの、やっぱりイタズラだな。中身から犯人を推理して、そいつを思いっきり笑ってやる」  そう呟き、僕が”箱”の蓋を開けようとした時だった。 「開けるのかい? じゃあ、せいぜいいい未来を祈って開けることだね」 「え? だ、誰だっ?」  突如背後から話しかけられ、僕は慌てて振り返った。そこには、柔和な笑みを浮かべた紳士が立っていた。どこから現れたのか? どこにいたのか? 登校中の生徒の列に、僕らを気にしている者もない。普通にありきたりに通り過ぎてゆく人々に、僕は静かな恐怖を覚えた。
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