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「なんか昔のドラマみたいだね」
「ほんと。最初は1間しかないぼろぼろのアパートで、お母さん出てきたこと後悔したのよ」
「それ、初めて聞く」
「だって、これ以上幻滅されたくなかったから。でも、お父さんが頑張ってくれて、陽菜ちゃんが3歳の時に、今のマンションを買ってくれたの。新築でピカピカで、お母さん感動した」
「そうなんだ」
「贅沢なんて全然しなくて、外食もお総菜もなし。お出かけは近所の公園におにぎり持って出掛けるくらい。でも、楽しかったな」
私が小さい時はお出かけとか出来てたんだね。
忘れてたけど、小学校の4年までは、運動会はお母さんの手作りお弁当を、和くん家族と一緒に食べてたんだ。
お母さん普段はご飯作るだけで疲れてたのに…
「ゆっくりすれば大丈夫だから」
お母さんは、休み休み家事をこなして、私がお手伝いしなくても大丈夫だった。
でも、5年に上がった位から、お母さんが体調崩し初めて、入退院を繰り返すようになった。
5年生の運動会は、和くんママの美佳ちゃんが作ってくれたお弁当をみんなで食べた。
和くんは卒業してたのに、和くんの家族と一緒に。
「お弁当つくれなくてごめんね」
運動会の朝、私に謝るのお母さんを、美佳ちゃんとお父さんが励ましてたのを何となく覚えてる。
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