離れたくない

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side 和也 久し振りに、香澄ちゃんのお見舞いに来た。 昨日、陽菜が悲しそうにしてたのが気になったからだが… この前来たのは、香澄ちゃんの容態が急変した時で、もう半年くらい来ていない。 「さむ…」 鞄から陽菜が貸してくれたマフラーを取り出して巻く。 陽菜がいたら返すつもりだったけど、返したくないな… はぁ、女子みたいだ… 確か中庭の角に喫煙所があったはず。 タバコで気持ちを落ち着かせようと思い、中庭に向かった。 「和くん、タバコまだ吸ってるの?」 この前陽菜に怒られたな。 1日1本吸うくらいなら、きっぱり辞めればいいのに、辞められない。 中庭につくと、看護師が誰かと話していた。 陽菜… 泣きそうな顔の陽菜が立ち上がって、走り去った。 看護師は、陽菜の走り去った方をしばらく見てから歩き出す。 あの二人何かあるのか… 苦い思いに駆られる。 とにかくお見舞いに行こう。 香澄ちゃんの病室を開けると、陽菜と香澄ちゃんが笑ってた。 「あれ、和くん来てくれたの?」 香澄ちゃんが嬉しそうに笑った。 「和くん仕事は?」 「近くに用があって来てたから、寄ってみたんだよ。香澄ちゃん、具合はどう? これ、ゼリー」 「大丈夫よ。ゼリーありがとう。和くん座って」 ベッドの横の丸椅子を引き寄せて座った。
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