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走って和くんに抱きついた。
「和くん、ごめん、ごめんなさい」
何を喋っていいのか分からない。
でも、謝らなくちゃ。
和くんに許して貰わなくちゃ。
彼女が居てもいいから。
すれ違った時に「陽菜」って笑ってくれるだけで充分だから。
だから、許して。
謝り続ける私に、和くんは
「陽菜、どうしたの?大丈夫だから。俺怒ってないよ。だから、もう謝らなくていいから」
いつものようにギュッと抱き締めながら言ってくれる。
やっと泣き止んで和くんを見ると、
「プッ、酷い顔」
と笑い出した。
「笑うなんて、酷い」
「ごめんね。ねぇ、陽菜はどうして謝ったの?どうして泣いてたの?」
「だって、和くんと二度と会えなくなるかも…と思ったら、すごく嫌だったの。和くんが離れていっちゃうみたいで怖かったの」
さっき、一人で大丈夫って言ったのは私なのに。
なのに、すぐ離れたくないなんて。
あまりに自分勝手すぎて、恥ずかしくなってきた。
「俺が陽菜と二度と会わないなんてないから。だから、安心して」
「うん」
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