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お風呂から上がると、和くんがソファーでウトウトしてた。
やっぱり疲れてるんだね。
ごめんね。
もう、和くんを解放してあげないと。
だって、和くんには…
とりあえず、起こさないと。
「和くん起きて。風邪引いちゃうよ」
「うん…陽菜、俺寝てた?」
「寝てたよ」
「そっか」
そう言うと、和くんが私を引き寄せてギュッと抱きしめた。
「陽菜あったかい」
「湯たんぽみたいでしょ」
わざと明るく言って誤魔化すけど、泣きそうになる。
お母さんが入院して不安な時、学校行事にお母さんが来れなくて寂しい時、友達と喧嘩して悲しい時、いつもギュッと抱き締めてくれた。
和くんの腕の中にいると、すごく安心できて、感じていた不安や悲しみがなくなる気がしたんだ。
でも、今は悲しくないのに泣きそうになる。
和くんにとって私はずっと妹で、それ以上には絶対になれないって言われているようだから。
大学卒業と一緒に、和くんからも卒業しないと。
でも、今だけ…
和くんの温もりを離したくなくて、私もギュッと抱きついた。
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