序章

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桜の花びらが舞い、 晴れ渡る青空のなか、 全力で自転車を漕ぐ。 過ごしやすい季節でも、 いつもの坂道を上りきると自然と汗がこぼれた。 上りきった坂の上から、休憩がてらいつもの日課になっている空を見上げた。 今日は雲一つない快晴。 「今日は本当にいい天気だな。」 二年生になったばかりの女子高生 水瀬 空(みなせ そら)は、 澄み渡る青空を仰いだ。 この名前のせいなのか、暇があれば空を見上げる癖がついてしまった。 辛いときや悲しいときも、 空を見上げれば小さなことに思えたから。 「なんだか今日はいいことありそうな気がするな…」 思わず笑みをこぼし、空はゆっくりと自転車を漕ぎ出した。
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