5人が本棚に入れています
本棚に追加
私の後ろにある。
慌てて振り向いた。
「あっ……ああっ!」
そこには信じられない事が起きていた。
染みは5歳児位の子供の影のようになっていた。
染みが……その染みが這うように蠢いている。
何かをきっと探しているのだ。
そして、染みはこちらの方を見て制止した。
見つかった。
その染みはすうっと私の方に近づいてきた。
「こ、こないで!」
私は目を閉じて必死に染みを足蹴にした。
無我夢中だった。
恐怖が絶望へと降っていたのだ。
しばらくして目を開けた。
「あ……れ?」
いない。
いつのまにか染みは私の前から消失していた。
「……」
気が動転していた。
急に冷静になる感覚を覚えた。
頭が冷えたような気分だ。
今の私はどうかしていた、そんな気さえした。
その時、ふと頭になにかポツポツと当たる感覚がした。
水だろうか。
私は頭に触れた。
「え……?」
血だった。
慌てて見上げたと同時、
「ひ、ひいい――!」
私は逆さ吊りの彼と再会したのだった。
「ママおかえりなさい――」
最初のコメントを投稿しよう!