第1章

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私の後ろにある。 慌てて振り向いた。 「あっ……ああっ!」 そこには信じられない事が起きていた。 染みは5歳児位の子供の影のようになっていた。 染みが……その染みが這うように蠢いている。 何かをきっと探しているのだ。 そして、染みはこちらの方を見て制止した。 見つかった。 その染みはすうっと私の方に近づいてきた。 「こ、こないで!」 私は目を閉じて必死に染みを足蹴にした。 無我夢中だった。 恐怖が絶望へと降っていたのだ。 しばらくして目を開けた。 「あ……れ?」 いない。 いつのまにか染みは私の前から消失していた。 「……」 気が動転していた。 急に冷静になる感覚を覚えた。 頭が冷えたような気分だ。 今の私はどうかしていた、そんな気さえした。 その時、ふと頭になにかポツポツと当たる感覚がした。 水だろうか。 私は頭に触れた。 「え……?」 血だった。 慌てて見上げたと同時、 「ひ、ひいい――!」 私は逆さ吊りの彼と再会したのだった。 「ママおかえりなさい――」
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