アーデント世界のアトラクション

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俺はライナの所に行くと手を繋いだ。 「セルナ、遅いよ。 次に行こう。」 とライナが俺に言った。 だいぶ待たせたようだ。 「ゴメンね、ライナ。 次は、どこに行こうか?」 俺はライナに訊いたのに答えたのはオーゼスだった。 「次はアレだ。」 とオーゼスは俺達の頭上を指差した。 このアトラクションエリアを塀の様な作りの陸橋が縦横無尽に走っているのだ。 下の人が通る部分はくり貫かれていて通るのに支障は無い。 施設内は、かなり高さのある屋根に囲まれていて暗い筈なのに、その陸橋から光が溢れ出ていて施設内は優しい光に照らされているみたいになっている。 時々ピンク色の光が陸橋を流れていた。 俺達は上に昇り陸橋の全容を見た。 そこは流れるプールだった。 プールの底には光の光源が埋められていて、それが天井に向かって照らしていた。 そして天井からの照り返しで施設内が明るくなっているのだ。 プールの底には他に様々な綺麗な絵が描かれていて中々に美しかった。 そのプールの水は無色透明な温泉水で、うっすら湯気が立っていた。 そこにピンク色の透明な二枚貝の貝殻の1枚が幾つも浮かんでいた。 大きさは海で倒したパールシェルよりは大きい。 貝殻の中央には手で掴む所と座る所が設置されていて、まるで前世のコーヒーカップの乗り物の貝殻版だ。 ピンク色に染まっているけど透明なので、プールの底の絵がよく見えて楽しそうだ。 8人乗りの貝殻に俺達4人と俺達に追い付いたハルバ兄達の六人で乗った。 席取りはバランスの為にナリカ嬢を挟む様にハルバ兄とオーゼスが座り、両側を1席ずつ空けて、俺を挟んでオーゼスに近い方をアイゼルがハルバ兄に近い方をライナが座った。 一周するのに30分は掛かるくらい陸橋は色んな具合にくねっていて、しかも乗って解ったのだが、プールの底は山形に上下に波打って作ってあるので貝殻カップはユラユラと揺れてバランスを取るのが難しかった。 勿論、引っ繰り返らない様な設計だと思うから騒ぐ事は無いのだが、俺達はキャーキャー笑いながらバランスを取ろうと騒いだ。 結構、面白かった。 その後は、ちょっとしたユルイ傾斜のウォータースライダーにオーゼスとアイゼルは1人で、俺とライナ、ハルバ兄とナリカ嬢は2人で滑って楽しんだ。 勿論、ライナを俺が足を伸ばした膝の上に座らせ後ろから腕を回して滑った。 俺には御褒美の時間だった。
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