サンドボックス・アクアスフィア

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「う~ん、何から手をつけたもんかな」  わたしは悩んでいた。  目の前には広大な空間が広がっている。何をしてもいいし、その気になれば何だって作れる。ただし、多大な労力と引き換えに。  最近マイブームのサンドボックス型ゲーム(自作だけど)で新しい世界をつくってやろうと、あれこれ思索を巡らせていたのだが……。  いや、行為自体は初めてではないのだ。ただこれまでは、出来上がりを鑑賞するだけの、シンプルな構成のものばかりだった。単に形が単純ということではなく、たとえどんなに複雑なモノであっても完成した瞬間に発展性がなくなる、そんな置物ばかりつくっていたのである。  大きいのやら小さいのやら、気まぐれに光らせてみたりしたものもあったが、結局はそれだけ。そこで今回は、ただフィールドを創って終わり、ということにならないような舞台をつくりたいのだ。  ということで、あれこれ思索を巡らせていた。目の前にはありとあらゆるものの素があるが、整理整頓など一切されていないので大変なカオスである。悩むのも仕方のないところだろう。 「とりあえず、どうにかして環境を整えていかないと」  殺風景な地面と、明るいのか暗いのかはっきりしない微妙な空、今できあがっているのはひとまずそれだけだ。 「そーだなァ、まず光源……光だな。光、光……」  起きる時間と寝る時間くらいはっきりさせてないと不親切かと、うまく光の量を切り替える方法を模索した。が、地上でそれを実行するのはどうも難しい。ひたすら頭を捻っていた、その時だ。 「アレッ?」  周りは自然と明るくなり、光で満たされた。。そんな風なシステムをつくった覚えはないのだが。 「もしかして、こないだ作ったやつのせいかな」  例の、気まぐれに光らせたオブジェだ。適当な空きスペースに新しいフィールドを用意しただけのつもりが、どうやら光を受け取るのにちょうどいい距離だったらしい。しばらくすると夜もやってきて、最初の難題は悩んでぶつくさ言いながら時間を浪費しているうちに解決されてしまった。 ※
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