サンドボックス・アクアスフィア

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 ひとつ作業が進んだところで、また新たな問題が発生した。 「暑っ」  気まぐれに光らせたとはつまり、ラクな方法を選んだということだ。 現在制作中の新しいフィールドに光をもたらしているそのオブジェは、実は四六時中どんどこ燃え盛っているだけなのだ。ちょっと離れているとはいえ、ずっと熱光線を浴び続けるのはツラい。 「しかたない、どうにかして陰をつくろう」  わたしは海にする用に準備した大量の水マテリアルのうちいくらかを改造して、雲をつくることにした。水マテリアルの仕様上、放っておいても雲くらいできるはずだったものの、待つのは非常にめんどくさい。  海用と空用とに無数の水マテリアルを水マテリアルを振り分け続け、気が付くといつのまにか夜が明けていた。  ※  で、次の朝。  わたしが突っ立っている地面はのっぺりとしていて起伏がない。全面バリアフリーのフィールドも斬新ではあるものの、やはり高低差がなければ探検に面白味がなくなるだろう。  わたしは地面に大小さまざまな凹凸をつくり、ついでとばかりに前日振り分けた水マテリアルを用意して、海もつくってしまった。フィールドの7割ほどが水浸しになって、ちょっとやりすぎたかなとも思わなくはないがそれも風情だ。ということにしたい。  まあ、ただただ殺風景だったフィールドに海が現れ、かなり見栄えよくはなった。なったんだけども。 「……やっぱりこう、もうちょっと彩りというか、青以外の色もほしいよな」  オブジェをつくるなら色彩を統一するのもやり方の一つだ。しかし、今回はこれまでに試したことのなかったことも色々とやってみたい。カラフルかつ賑やか、それでいて繊細な、種々の可能性に満ちた舞台。それが今回の目標だ。  わたしは植物を利用することにして、陸地の大部分を緑で覆った。手当り次第様々な種類を置いたから、生育の段階に応じて葉の色が変わったり、おもしろい実をつけたり、中にはちょっとばかり危険なのもあるかもしれない。  ともあれ、今度は夢中になって木々を生やした。一日が過ぎるのは早いもので、そうこうするうちにまた休むのを忘れてしまっていた。 ※
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