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街の賑わいぶりに俺は目を見張る。
アサバ街は近くに海があって、微かに潮の匂いが漂って来ていた。
チェルシーがいななく。
カロラは大声で人混みを突っ走った。
「どけどけ!邪魔だ!!新しい商品が手に入った」
周りの人間の視線が俺に行く。
俺は怖くて母さんが電圧でガクガク震えていたように震えていた。
「本当に男か?今度のは可愛過ぎるんじゃね?」
七面鳥の丸焼きを店頭で吊るし上げながら、不恰好な男が言う。黄色いシャツとグレーの長ズボンはオシャレの欠片もなかった。
年増の女が集って俺に見惚れる。
「可愛い~。人間じゃないみたい」
俺はこんな目立つところで泣きたくなかった。息が苦しい。俺、こんなに弱かったか?
『森の外に出てはいけません』
母さん、人間界に降りたダークエルフの運命を知っていたのか?
だから、あんなにしつこく同じ言葉を繰り返していたのか?
助けには…来ないだろうな。
俺、男娼にでもなるのかよ!冗談じゃねえぞ。
俺は馬車から足を使って転落した。痛かったが、怪我は大したことなさそうだ。
カロラがいち早くそれに気付き、チェルシーを待機させる。
「歩いて5分もかからない。誰か、馬を見ていてくれないか?報酬は美味しいのを保証する」
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