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コンビニ弁当から適当に選ぶ。
幕の内弁当と、夜食のおにぎり。
小腹がすいたら食べるカップラーメン。
そしてレジの横に並んだ傘を一本。
「千二百八十円になりゃーっす
お弁当、あったたますかー」
・・
・
コンビニを出るとさらにひどくなった雨と風
多少濡れるのは覚悟の上だが
この今にも折れそうな傘が耐えてくれるのか。
「家まで頼むぞ、"四百円"。」
ビニール傘に四百円という愛称をつけて開くと
「てやんでい、任せとけ」と言わんばかりに勢い良く開く。
バラバラと傘に打ち付ける雨音を聞きながら俺は軒先を出た。
冷たい風に手元の弁当を案じる
せっかく温めてもらった弁当の蒸気が
ほんのりと俺の手を暖めていた。
「冷えるよなぁ。コレ」
温めなおすのは嫌いな俺は
温めてもらったことに後悔しながら
風に合わせて傘の角度を変えながら帰路を辿る。
車道を勢い良く走る車に水をはねられ
余計な寒さに苛立ちながら
俺はいつもの帰り道を歩いていた。
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