拾っちゃいました。

4/49
前へ
/68ページ
次へ
「今日はコレで勘弁してやる。  期日は明日までだ、返せなきゃどうなるか  分かっているよな?」 「まぁ……返せねぇのは分かってんだけどよ。悪いねぇ」 「それは!それはダメ!返して下さい!」 「悪いなァ、俺たちも仕事なのヨ」 雨の中、柄の悪いスーツを着た男にすがりつく女 何をしたのか知らないが すがりつく彼女をもう一人の男が引き剥がし 道に放り投げられる女に通り過ぎる人々は見向きもしない。 俺も、その一人で同類だ。他の人を批判できはしない。 少しの自己嫌悪を感じながら俺はそれに無視を決め込んだ。 それから約1キロほど 家まではもう1,2キロほどあるが ここで弁当がさっきまでの暖かさを失っていることに気がついた。 ふと見れば懐かしい公園。 そういえば、昔よくここで遊んだっけ。 という記憶でぬかるんだ公園の土を踏む。 公園の中心のてんとう虫。 ここは5時になると明かりが灯る。 その記憶を頼りに覗き込むと ちゃんとそこには記憶通りに白熱灯が灯っていた。
/68ページ

最初のコメントを投稿しよう!

8人が本棚に入れています
本棚に追加