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「今日はコレで勘弁してやる。
期日は明日までだ、返せなきゃどうなるか
分かっているよな?」
「まぁ……返せねぇのは分かってんだけどよ。悪いねぇ」
「それは!それはダメ!返して下さい!」
「悪いなァ、俺たちも仕事なのヨ」
雨の中、柄の悪いスーツを着た男にすがりつく女
何をしたのか知らないが
すがりつく彼女をもう一人の男が引き剥がし
道に放り投げられる女に通り過ぎる人々は見向きもしない。
俺も、その一人で同類だ。他の人を批判できはしない。
少しの自己嫌悪を感じながら俺はそれに無視を決め込んだ。
それから約1キロほど
家まではもう1,2キロほどあるが
ここで弁当がさっきまでの暖かさを失っていることに気がついた。
ふと見れば懐かしい公園。
そういえば、昔よくここで遊んだっけ。
という記憶でぬかるんだ公園の土を踏む。
公園の中心のてんとう虫。
ここは5時になると明かりが灯る。
その記憶を頼りに覗き込むと
ちゃんとそこには記憶通りに白熱灯が灯っていた。
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