拾っちゃいました。

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「まあ、ここで晩飯にしようかな。」 別に帰った所で誰もいない。 そんな考えで俺はてんとう虫の中に潜り込む。 外はこんなにひどい雨だというのに 中は少しだけ暖かかった。 中のベンチに座り、膝に弁当を開く。 大人でももう数人は入れそうな広さも 子供の頃はもっともっと大きな秘密基地に感じたものだ。 さて、何から食おうかな。 幕の内弁当の色とりどりのおかずに 行儀が悪いと知りながら迷い箸。 シャケの切り身から、と決めた俺の耳には チャプリ、ザリっと聞こえた足音。 こんな雨の日に公園に何の用があると言うのか 音のする方へと顔を向けると 「……ひっ、ひぐ。」 とすすり泣くような声がする。 その声はだんだんと近づいてきて てんとう虫の入り口から顔を出した。 「……っぐ、ぇう。」 その子の顔は雨に、涙に鼻水にと 色々なものでぐちゃぐちゃで 見られたようなものではなかった。
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