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「ガキが1千万だァ!?
ずいぶんとフザケてくれるじゃねえの」
「そうじゃなくてこれを!」
ようやく出てきた封筒をスキンヘッドの方に渡すと
封をしていない封筒の中身を覗き込む
そして怖い顔が、一瞬にして驚きに変わる。
眉間に寄っていた皺が上に釣り上がり
眉毛はハの字に形を変える。
封筒を隣の金髪に渡すと
そちらも同じように驚いた顔に変わったが
隙かさず枚数を数え始める。
「彼女の借金を、払います」
「お前がノラを買うっちゅうワケか」
「買うというか、なんと言えばいいんですかね
家族になってもらいたいな、というか」
スキンヘッドの男は仁王立ちをする。
そして俺を品定めするかのように
足の先から頭の天辺までをゆっくりと目線で舐める。
「アニキ、きっちり1千万ありやす」
「そうか」
と、スキンヘッドの男はさらに険しい顔になる。
そして俺との距離を詰めて
額が擦れ合うほどの距離にまで近づく。
「ワシらはな、金さえ貰えばノラを風呂屋に売り払わんで済む
じゃがな、どこの馬の骨とわからん男に
金だけもらってノラを売り払おうとも思わん。」
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