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1
主人公は敬虔な信仰者の少年。
彼が信仰している『テス』教は、過去に弾圧を受け、現在では少数の信者しかいなかった。
現に彼が住む村では彼以外に信者はおらず、彼の両親を含め全ての村人が少年を異端扱いしていた。
村人たちは自分たちも信仰している、世の主流となっている『リック』教の教えを少年に説いていたが、
少年はその教えを受け入れず、両親の声にも耳を貸さず、自身の選択したテス教こそ至上としていた。
2
少年は、異国語で書かれているテス教の教典を隠しもっていた。
未だすべての文を読み解けてはいなかったが、およそ全体の1/4程度までは読み解いていた。
独学で異国語の解析を進める傍ら、既に読み解けた箇所を何度も反芻し、反芻するたびテス教への傾倒を深めていた。
そして彼は、信仰の減ったテス教を復興するため、世界を旅することを決めた。
旅を通してテス教を復興させることで、神の使徒に加わる事を夢見て。
3
彼がテス教を信仰するようになったのは、彼の村に旅人がやってきたときのことだった。
その旅人はかなりの高齢で、村の近くで行き倒れていたところを少年が発見し、介抱した。
旅人は少年に深く感謝し、介抱を受けているお礼として、テス教の教典を少年に授けた。
少年は見慣れぬ言語、初めて知る教えに感動し、暇があれば旅人に話を聞いていた。
少年には異国語が読めないため、旅人に教わりながら少しずつ読み進めていたが、
テス教を少年に吹き込む余所者を大人たちは快く思わず、旅人が回復し次第すぐに追い出してしまった。
そのため少年は全ての教えを知るに至らなかったが、未知の部分があるということが却って少年に関心を持たせ、
使徒になるという夢を抱くまでにいたったのだった。
4
彼が村を出てテス教を広めにいくことに賛同するものは1人もいなかった。
それもまた彼のやる気に火をつけ、周囲の説得を無視しながら旅の準備を進めていた。
少年のやる気を狂気と捕えた村の大人たちは、ついに実力行使で彼の旅立ちを阻害することにした。
しかし村の仲間、ましてやまだ子供ということで気が引けていた大人たちに対し、
一切の躊躇なく急所を狙い大人を蹴散らす少年を誰も止めることはできず、少年は旅立ちを迎えた。
5
世界を旅する中で、度々、リック教の信者と討論を交わす機会があった。
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