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悪臭漂う中、フィーは手のひらをおしめに向けて構え、呪文を唱えた。
「”洗浄(クリン)”!」
サレニアが使う時はうっすらと光る程度だった魔法が、強烈な光を放つ。
光が収まった後、おしめは綺麗になっていた。
部屋に漂っていた臭いも消えている。
魔法に感心していると、何かが倒れるような音が聞こえた。
フィーの姿が見えない。
フィーの居た方まで這いより、触手を上手く使い、ベッドの柵に掴まって立ち上がる。
柵から身を乗り出して覗き込むとフィーが倒れていた。
十中八九、今の魔法が原因だろう。しかし、どう対処する。
まずは誰かを呼ぶ必要があるだろう。
それには―――
触手を勢い良く伸ばし、部屋にある窓にぶつけると、窓の割れる音が響き渡った。
すぐさま玄関のドアを叩く音と、ラスの声が聞こえる。
「フィー!どうした!?大丈夫!?・・・・・・入るよ!」
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