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――夕刻。
フィーの容態は変わらない、いや、徐々にではあるが弱っているようだ。
ラスの持ってきた薬を少しずつ飲ませてはいるが効果は薄い。
ババ様が治療を続ける中、サレニアとエルクが帰ってきた。
事態を飲み込めていない二人にババ様が説明する。
「ワシの見立てでは、洗浄の魔法を使って魔力を暴走させてしまったようじゃの。」
ババ様の言葉にサレニアはその場にへたりこんでしまい、エルクは拳を握り締め、俯く。
「そんな、まだ何も教えてないのに・・・。」
「お前さんを見て覚えたんじゃろうな、優秀な子じゃて・・・。」
ラスは大粒の涙を流しながら、サレニアとエルクに謝り続ける。
「ごめんなさい!私が目を離していたばっかりに…!ごめんなさい!ごめんなさい!ごめんなさい!」
ババ様がフィーに薬を飲ませながらラスを諌めた。
「止すんじゃラス、お前さんが悪い訳じゃない。サレニアもな・・・。」
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