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魔法の練習を続け、はや三年が過ぎていた。
言葉もそれなりに喋ることが出来るようになっている。
家から出て、外で走り回ることも。
そして、言葉が発声出来るようになった事により、重大な事実に気が付いたのだ。
―――”魔法”が使えない。
触手を生やすような魔力操作は出来るのだが、サレニアやフィーが使っている”魔法”が使えないのだ。
例えば火を出す”火(フォム)”という魔法。
本来ならば軽く念じて呪文を唱えるだけで発動するらしいのだが、俺の場合はうんともすんとも言わない。
しかし、再現は出来る。
魔力をひり出して強く火に変われと念じる。それで同じような現象が再現できるのだ。
だが、その差は大きい。
サレニアやフィーは一瞬で発動するのに対し、俺は数秒掛かる。
威力を上げようとすれば、その数秒はさらに伸びる。
これでも練習してタイムは縮めたのだ。それでもこの差である。
さようなら、魔法少女―――
そんな言葉が脳裏によぎったが、別の事実も判明した。
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