epi.2 洗濯日和

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「マミー、サン。食器の回収だよ」 声をかけると、マミーは二セットの食器を手に二〇五号室から出てきた。 そのままカフェに向かうのか、チハルと一緒にドアを閉める。 「サンはいいのか?」 「あの子は一人が好きなの。一人でイピルーを吹いている方がね」 ほほえみながら答えるマミーと一定の距離を保ちながら、チハルは並んでカフェに降りた。 ついでに何か飲むかと注文を訊いて、希望されたカプチーノを作り始める。 カウンターに頬杖をついたまま、マミーがふと訊ねた。 「なんだか二〇一号室(あっち)が騒がしかったわね。他の人たちは慣れっこのようだけど」 「ああ、ガールのヒステリーさ。自分の理性と感情の板挟みになって耐えきれなくなると起こす」 泡立てたミルクを注いだカップをマミーの前に置いて、チハルもカウンター内の椅子に腰掛けた。 こちらの言葉を受け、彼女はぴくりと眉を跳ね上げる。 「恋をしているの?」 「鋭いね」 あえてぼかした言い回しをしたのだが、チハルは彼女の発想転換の早さに感心して、あっさりと認めた。 「ガールはオレと同じ十七だけど、恋をしている。あの子はまっすぐだから、完全な身勝手になりきれないんだ。だから自己嫌悪の発作を起こすのさ」 マミーの肩越しに視線を向け、チハルは声をかけた。 「そうだろ、ティーチャー」 「そうさ」 驚いて振り向いたマミーに「初めまして」と挨拶し、ティーチャーはその隣に座った。 「彼女はマミーだよ。コーヒーでいいか?」 チハルの質問にうなずいて、彼は疲れたように笑った。 ガールがヒステリーを起こした後はいつもそうであるように。
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