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「僕の受け持ちだったガールは……とても繊細で、僕を好きになってから叶わぬ恋にどんどんやつれていきました」
孤児ゆえに、だろうか。賢く静かな一人ぼっちの生徒だったガール。
相談を打ち明けられるような友達もなく、すべて抱え込んで少しずつ消化する方法しか知らなかった。
「僕はそんな事実を知らず、ただ教師として彼女の力になりたくて、少しずつ親しくなっていきました」
会ったら声をかけたし、授業の質問にも必ず応じた。
必死だった。ガールの信頼を得るために。そうすればきっと心を開いてくれると信じて。
脆い生徒の心を守りたい一心で。
今思えば……それがいけなかったのかもしれない。
「だけどある日、ガールが貧血を起こして医務室に運ばれたんです。ほとんど食事を摂っていなかったそうで。駆けつけた僕に彼女は泣きじゃくりながら――――」
ティーチャーは唇を噛んだ。あまりにも鮮明な記憶。すべての間違いの源。
『先生が……好きです』
涙をぼろぼろ溢し息を詰まらせながら言われた言葉に、ティーチャーは頭をぶん殴られたような衝撃を受けた。
力になりたかった生徒。思い詰め悩み苦しんでいた生徒。
それがまさか……まさか自分のせいだったなんて。
『忘れます。ちゃんと先生の生徒に戻ります。だから……だから一度だけ―――』
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