第1章

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大阪市営地下鉄の大阪港に到着した。 海遊館は、ここから少し歩いた所にあるので、僕は歩道の右側に寄り、ありさちゃんと一緒に歩いていく。 「夜の水族館って初めてだなぁ~。たくやくんは行ったことあるの?」 弾んだ声で話すありさちゃん。 「いや、僕も初めてだから楽しみにしてて」 「そっか~!じゃあお互いわくわくだね」 ありさちゃんが僕の顔をのぞき込むようにして見る。 照れくさくて、そ、そうだね、と返事をして、僕は腕時計を見た。 時刻は午後6時過ぎ、もう夜の海遊館モードになっているから、ロマンチックさは抜群のはず。 2人で、この演出きれいだね、かわいいね、とか、ロマンチックな館内を巡っていく予定だ。 巡っている途中は休憩とる事を忘れないようにして、2人で良い雰囲気を楽しむことも忘れないように。 それで、館内を出た後は、夜景が見える場所まで案内して・・・。 やばい、僕は本当にできるのか!プランが完成して、よし!いける!絶対にやり遂げる!といきこんでいたけど! 大丈夫……!、今日のデートで、通算5回目!いつも楽しそうにしているし、なにより会話が楽しいし!って、それは僕の感想だろ!落ち着け、僕!落ち着け、ぼ、 「あっ!見て!観覧車!」 「いひゃあ!?」 ありさちゃんの声にお姉みたいな驚き方をしてしまった。 「きゃ!?ご、ごめん!びっくりさせちゃった?」 「だ、大丈夫!その、考え事してて!」 僕は慌てて答える。 「そっ、そうなんだ。えっと、どんなこと?」 「え?えっと・・・」 海遊館より少し離れた所にある観覧車を見ながら必死に考えを巡らす。 「あっ!そっ、そう!観覧車でかいなぁ~、って思って!ジンベイザメ何匹分くらいかなって考えてた!」 なんだその回答は!僕のこと不思議な子って思われない!? 内心焦りながら、ありさちゃんの顔を伺う。 「なるほどねぇ~、それは気になる」 ありさちゃんはそう言って微笑む。よかった、変に思われてないみたいだ。
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