ちょび髭危機一髪

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 「本件に入る前に、各自で調査報告を頼む」  夕暮れ時の放課後。僕達の教室は“都市伝説の探検隊の秘密基地”に変貌する。各自で都市伝説の発生ポイントに赴いて独自に調査をするのが探検隊の主な仕事だ。この事は学校側は知らない。  「報告致します」一報目は十八番街灯女(じゅうはちばんがいとうめ)さんが挙手した。  「犬の飼い主を決める問題について、顔が人なのでキモいと両者が飼育義務を放棄。そこでわたくしが犬を整形外科でイケメンに整形した所、Aさんは人面犬はやはり厭だとBさんに犬を譲渡し、Bさんが飼育する事になりました」  「なる程」人面犬の調査は無事解決、と。  「次は私だよ」二件目は岡田咲夜さん。  「赤マント撃退の件。赤と青と白以外の色で回答すると効果的だと言う事が判りました」  「例えばどんな色?」  「金とか銀とか無色透明とか少しサファイアブルーよりのエメラルドグリーンとか。流石に想定外の答えをされると赤マントも萎えたそうです」  「す、凄いね」赤マントの件も解決。  「今度はあたしが報告しても?」三件目は歌唄詠葉(うたうたいうたは)さんだ。  「口避け女撃退の件。私きれいと問われたら以下の対応が効果的だと判明“視力が悪いので判らない”“聞く前に自分に自信を持ちましょう、人は外見ではありません”“内面はとてもきれいですよ”など…“整形外科を訴訟すれば手術代他が戻ってくるかもしれません”とフォローも吉」  皆、今回も都市伝説に真摯に向き合ってくれたようだ。都市伝説探検隊の隊長としても鼻が高いよ。  「皆、ご苦労様。今日からはいよいよ我が鳩朔高校七不思議の調査に入る」
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