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鳩朔の七不思議のワードを前に皆静まり返えったのを確認してから僕は続ける。
「鳩朔に本野千一って夜警の人が勤めていたらしい。ちょび髭で左眉毛がない奇っ怪なおっさんだったようで、黒猫を飼っていたそうだ。丁度こんな顔だ――」
“【・益`・】y~~”
と黒板に本野と言う人の顔をチョークで書く。
「横の黒いのはなんです?」新喜光(あらきひかり)が訊ねて来た。
「もみ上げだと思う……。だったら耳もいるな」
“【・益`・】>y~~”
何か情報が足りないんだよなぁ。そうか頬に傷がないんだ。
“【・益`・〆】>y~~”
おお。人相に深みと渋みと苦みが出て来たぞ。若干ヤクザっぽいけど。
「怖い人相の人ですが、お亡くなりになられたんですか」玖理原楓(くりはらそう)さんだ。
それ今から話す所なんだけど。
「で、死語幽霊となって校舎を徘徊していると」仙湯香(せんゆか)さんも続く。
それもこれから話すんだけどなぁ。皆勘が鋭いな。
「結論から言うとそうなんだけど、情報提供者からの証言によると本野さんのは順番があるらしい」
僕は七不思議が起こる順番を黒板に綴っていく。
・必ず午前零時に始まる。
・校舎のチャイムが鳴る(新曲らしい)
・本野さんの黒猫が現れ校舎を徘徊し始める。
・黒猫の向かった場所に本野さんはいるらしい。
・同時に校舎の他の幽霊が目覚めて校舎内を徘徊するらしい。五体は確認されている。
「以上が鳩朔の七不思議“本野さん家の黒猫”の怪だ。午前零時のチャイムを合図に調査を開始する」
そう言うと僕は教壇の上に探索用の懐中電灯や非常食と猫の餌が入ったダンボール箱を教壇の上に置いた。
「流石は探検隊隊長数多君。用意周到ね」
「あ、数量限定だからアイテムは一人一個ずつね。皆。心の準備は?」
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