ちょび髭危機一髪

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 皆。O.K.だとゆっくりと頷いた――  現在午後23時59分だ。午前零時のチャイムまで残り10秒をきった。 9秒前―― 「緊張しますわね」灯女さんは懐中電灯を構えた。 8秒前―― 「緊張するね……」咲夜さんも懐中電灯を手に持った。 7秒前―― 「寒くなって来たました」光さんは体をさすり始めた。 6秒前―― 「幽霊が出そうな感じ」楓さんは落ち着きなく校舎を見回した。 5秒前―― 「数多君。顔本野さんが見たら苦情言わないかな」湯香さん「そうだね消しとこう」  “【■益■〆】y~~”  げげっ。益々ヤクザっぽくなってしまった。 4秒前―― 「数太。呪ったりしないよね。本野さん」詠葉さん。寧ろ本人はその逆だと思うよ「どうかな」 3、2、1……。 零時きっかり。校舎のどこからか聞き慣れないピアノの音が聞こえて来た。 タタタタン・タタンタンタン。ファーファー♪ タタタタン・タタン・タンタン・ファーファー♪ ダララララ、ダララララ、ダラダラダッダー、ダララララー♪  「あ、チャイム新曲や」湯香さんははっとして校舎を見回す。  「ドレミファド・ドレミファド・ドレミファド・ド・ドレミファド」咲夜さんが旋律の調律を始める「これは“ガラモンソング”だわ」  「合図が鳴ったな。調査開始だ」  僕は懐中電灯を構えて教室の出入り口に向かった。 その刹那。扉がガラガラと音を建てて開き、作業服を着た中年男性が入って来た。  “【■益■〆】y~~”  とは人相が違うから本野さんではないみたいだが。
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