見知らぬ世界

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まだ魔力が感じられると言うことは少女はまだ生きていると言うこと。 ジルは気を失っている少女の元で膝をついて顔を覗き込んだ。 この国では珍しい、艶やかな黒い髪をしていた。 固く閉じた目には長い睫毛が生えていて、白い肌に影を落としていた。 全体的に華奢で、儚い印象を持った。 美しい、とジルは思った。 今まで美しいと称賛される女性を見てきたが、これ程までに心を引き寄せられる人はいなかった。 「んん…」 少女は微かに唸り声をあげて目を開けた。 夜の闇を閉じ込めたような大きくて丸い瞳にジルは吸い込まれそうになって息をするのさえ忘れそうになる。 「え?森……?」 一目惚れだった。
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