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二人は階段の前に並んで立ち、お互いに顔を見合わせる。
もしその七不思議が本当なら、どんな世界に行くのだろう。
「行くぞ……」
「うん…」
二人は同じタイミングで飛ぶ準備をする。
丁度その時、チャイムが鳴り始めていた。
「せーのっ」
「せーのっ」
二人の声が重なり、階段から勢い良くジャンプする。
だが、翔は飛ばなかった。
美鈴は驚いた顔をした。
翔は悪戯が成功した子供のような笑みを浮かべていた。
――人を信じ過ぎるからこうやって騙されるんだよ!
翔は美鈴をからかうつもりでいたらしい、これだけ雪も積っているし怪我はしない、美鈴が思いきり落ちたところを大笑いしてやろうと思っていた。
しかし、翔の顔が焦りと変わる。
美鈴の身体が消え初めていた。まさか、あの七不思議は本当だったのか?
「美鈴っ!」
翔は手を伸ばす、だがそれは届くことはなかった。
美鈴の身体は地面に叩き付けられる直前に消えた。
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