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ふと、気が付くと、時計の針が9時50分を指していた。
「マズイ、今日は外せない約束があった」
日曜日だというのに、朝から人と会わなければならない。
約束は10時半だった。
僕は、そそくさと、レジでサインをしてレストランから出ると、フロントへ向かった。
「すみません。福永ですが・・・」
フロント係りの男は、眼鏡の隙間から上目使いで、ニヤリとこちらを見た。
「福永祐太様ですね?」
「はい。出掛けたいのですが・・・」
「あの・・・お連れ様はどうなさいました?」
「それが・・・先に出た様で・・・」
「やっぱり、そうでしたか。今朝早く、お連れ様に似た女性が出掛けられるのを見ましたもので・・・」
「ええ。それで、伝言を頼みたいのですが・・・」
「はい。それでは、メッセージをどうぞ」
「えーと。圏外で携帯電話が、使えないかもしれないですが、夕方5時には戻ります。
と、お願いします」
「はい。かしこまりました。
それでは、御予定通りに、もう一泊でよろしいですね」
「ええ。それでお願いします」
「はい。かしこまりました。
行ってらっしゃいませ」
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