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塗りたくられた、白と黒。
鮮やかな発色に目を痛める。
四角い空間。
それは教室であり舞台。
まだ、誰もいない箱。
白は静かに影を落とし、黒は喧騒として光を続ける。
モノトーンで彩られた教室。
体を横たえる机、
座して主人を待つ椅子、
見えても手は届かない窓の外。
物憂げに、監視をする教卓。
そこで繰り広げられる、社会の模倣。
何と言ったか?
おままごと。
答えが分かっているのに、出題と回答の形式に従う。
なぜ?
それがこの世界のルールだから。
別に何にもない。
不平も、不満も。
ただ平穏だけ。
それだけでいい。
ここにある、机や椅子のように。
海の底の貝のように。
「出題:興津れいり ジャンル:ノンジャンル
興津れいりにとって、この世界はなにか?」
「―――。」
如何に手を尽くしたところで、
他に答えのない、救いのない解。
まるで数学。
その単語に、
ひとりの顔が浮かぶ。
風が吹く。
胸がざわつく。
その意味は分からない。
答えは怜悧の向こう側。
白が伸びている。
それを追って、黒の席に座る。
今日もまた、
おままごとをしよう。
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