第1章

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【女優デビュー】 「顔は、20くらいに見えるけど、体は手を入れてるの?」 「いいえ。」 「じゃ、顔と体のギャップがあるね。 見せてもらってもいい?」 「どうすればいいですか?」 「僕の前で全裸になれるかい? 部屋には鍵がかかってるから、急に誰かが部屋に入って来る心配はない。」 物心がついて以来、男性の前では全裸はおろか、上半身さえ裸は見せたことがない。 しかし、今は女優になろうとしている。その目的のためならなんでもするつもりだった。それこそなんでもだ。 体を見た後、クレームがつくかもしれない、会社の方針で体の整形モデルの手術を受けろと言われるかもしれない。 それならそれでもいいと思った。 佳奈子は男の前で、一糸まとわぬ姿になった。 もちろん秘部も丸見えであった。 「いままで性体験は?」 それはある意味屈辱的な質問だった。 佳奈子の答は「一度もありません。」だったからである。 それは、いかに佳奈子が女としてもてなかったという証拠でもあった。 「20才としてデビューするとしたら、やはり体が問題だな。すぐに脱ぐ仕事が来るとは限らないが、いずれは脱がなければならないこともある。その時のために、顔と体のアンバランスは直しておいた方がいいね。いくら顔が若くて美人でも、体が貧弱で垂れ乳じゃ、魅力が半減するし、整形したことを自分からばらすようなもんだ。」 「目的のためなら、会社の言うとおりにします。」 「そうするつもりがあるなら、今日の面接はとりあえず合格だ。後の指示は追って連絡するから。」 佳奈子は衣服を着て2号室の面接室を出た。入れ代わりに廊下にいる内の一人が名前を呼ばれて入った。 この子も全裸になれと言われるのだろうか。
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