第1章

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「やはり、美しい女の処女を破るのは男の生き甲斐だね。たとえ相手がサイボーグ美女でもね。」 佳奈子はあまりの痛みに答えることができなかった。 「僕は先に帰るから、君は時間までゆっくり休んでいきなさい。仕事は次の連絡の時まで僕が用意しておくから。 あぁ、それから僕は女は処女にしか興味がないから、二度と誘うことはないから安心していいよ。」 そう言うと楯石は部屋を後にした。 佳奈子はしばらくそのまま寝ていた。 やがてチェックアウトの時間が来たので佳奈子はシャワーー浴びて身支度を整えて外へ出た。 部屋のシーツは真っ赤に染まっていた。 体は芯までズキズキ疼いた。 それから一ヶ月後、楯石から仕事が入った。モデルの仕事だった。 彼の言うとおり、楯石からの誘いはその後全くなかった。 それは佳奈子にとっては助かった。 度々誘いがあったのではたまらない。 もともと好きな相手でもなく、仕事の相手である。 佳奈子はモデルの仕事をするための最低限のノウハウをプロの指導者から指導を受け、雑誌のモデルやファッションショーにも出るようになり、ついにはパリコレにも出るようになった。 モデルとしては綾乃メイと名乗った。 その後に、女優の仕事が来た。 ズブの素人である佳奈子だったが、さる有名男優の演劇塾に通い演技力を磨きテレビにデビューした、既にモデルとしては有名なだったが、女優として出発するにあたり改名して一ノ宮緑としてNHKの朝ドラの主人公に抜擢されたために、彼女の顔と名前は全国津々浦々まで知れ渡った。 すると、女性週刊誌やスポーツ新聞社が彼女の過去を調べ始めた。 アフロディテプロダクションは、雑誌社や新聞社に金をつかませて、彼女の過去が表沙汰になるのを防いだ。 朝ドラから大人の女を演じる本格的な恋愛ドラマまで演じきれるようになった彼女の人気は不動の地位を獲得し、舞台にも進出し、出る舞台全てにおいて成功を治め、歌った歌は大ヒットした。そのため彼女を主人公にした創作ミュージカルが作られ、それは大ロングランを記録した。 まさに、日本中に田添佳奈子を覚えているものはほとんどいなくなり、一ノ宮緑だけが有名になった。
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