第1章

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さて、それから江梨は男と女を問わず、あらゆる人種、あらゆる国々、あらゆる職業の人に変身し、色々な人生を経験した。 それは、役者になって色々な人生を生きることに似てはいたが、それとの最大の違いは、前者はあくまでもあらかじめシナリオが用意されている虚構の世界の出来事であり、後者はシナリオのない実人生そのものであり、一回限りのスリルに満ち満ちたものであるということであった。 そして、何度も何度も変身を繰り返している内に、変身はとうとう100回目を迎えた。 江梨は急いでファラオの洞窟から出てきたために、ファラオの呪文が岩に浮き出た呪いの文字は読んでいなかった。 そこに浮き出た文字には、こう記(しる)されていた。 《 変身が許されるのは、100回まで。  それ以上変身を繰り返す者には、  ファラオの恐ろしい呪いが降りかか   る。》
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