ー2本目ー

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パソコン画面に美術館の配線の設計図を出したタールは、それを指でなぞった。 「いいか?1階にある監視カメラは入り口を含めて15台。しかも旋回式の最新モデルだ。なのに、2階フロアは10台で、殆どが固定式で死角も多い。コレが何を意味すると思う?」 「何って…何だ?」 「もしかして…見られると困るとか?」 「惜しいな。コレはズバリ…保険詐欺だ」 そう推察するタールは、パソコンを操作しながら「色々と面白い事が判ってな」と言って何かのリストを画面に表示した。 「人間と同じように、物にも保険金が掛けれるのは知ってたか?これは、過去にあの美術館が展示し、紛失、もしくは損壊させてしまった際に発生した保険金のの額だ」 「えっと…じゅ、15億円!?」 俺がその総合金額に驚くと、龍太は「んじゃ、額縁と絵画の誤差は?」とタールに尋ねた。 「あぁ、ソレか?館長のミス発注だ」 「何でだよ?美術館の館長が、そんな凡ミスなんてするか?普通」 「あの館長の職歴だが、前は国会議員で、退職後は天下りで今の職に就いているんだ。つまり、芸術の"げ"の字も知らないド素人なのさ」 .
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