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それから2週間が経ち、アパートを留守にしていたタールが帰ってきた。
それも、嫌に大きな物を抱えてだ。
「…フッフッフッフ、これが今回の鍵だ。越枝、宇田川。これを使って連中を誘き寄せるぞ」
「コレで?」
「ってか…何でもアリじゃねぇかよ」
―――――――
翌日、俺と龍太はタールから教わった「作戦」を実行する為、館長の黒埼に接触した。
「…何?作品を展示したい?」
「はい。自分達の知り合いが芸術家で、小さな個展を開いてたんですが、もっと大きな施設を探していてまして…な?」
「は、はい。で、此処の事を話したら、代わりに交渉してくれないかと…」
「個展をねぇ…生憎だが、それなりに著名でなければ当館は貸せないな。そもそも、その人物とは何者だ?」
そう黒埼は興味を示さずに美術品に関する雑誌を見ながら俺達に訊いて来ると、俺は「茶堂京助さんです」と告げた。
「茶堂?…まさか、あの今人気の陶芸家である茶堂京助か!?」
「は、はい(引っ掛かった!)」
俺はタールから渡された花瓶や茶碗の写真を黒埼に見せると、明らかに表情が変わった。
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