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そんな2人の密談をこっそりと聴いていた俺と龍太は、互いに見合って頷き、2階フロアを移動した。
「なぁエダ、ホントにタールの言ってるのは間違いないのか?」
「らしいぜ?この美術館、改装前から一ヶ所だけ手の加えられていない場所があるんだとよ」
タールの話しだと、盗難された美術品は何とこの美術館に隠されているというのだ。
防犯カメラがあったのにも関わらず、美術品が無くなることはありえないと断言したタールは、盗まれたのではなく隠されたと推理し、改装前の美術館の見取り図と、改装後の見取り図を照らし合わせたのだ。
「灯台下暗しってか?」
「だな…見ろよ?」
俺と龍太が向かった先にあったのは、来賓者用のトイレで、何故かそこの天井に監視カメラが取り付けられていた。
「普通に考えたって、トイレの真ん前に監視カメラなんぞ付けるか?」
「確かにな。しかも、その隣が警備員室だしよ」
俺達はその場を離れて1階展示フロアに向かうと、出入り口で警備していた警備員と交代した。
「お疲れ様です」
「おう。今日は早めに上がって良いぞ?後は赤井さんと俺達で十分間に合うからな」
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