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麻酔銃で眠る赤井の手下を結束バンドで手首を後ろで拘束する俺と龍太をヨソに、タールは携帯電話で赤井本人にコンタクトしていた。
理由は、相手の心理を突く作戦だ。
「お前たちの悪巧みは、既に露呈している」
『何だと!?どういう意味だ!?』
「自作自演の盗難騒ぎで美術品に多額の保険金を掛け、それをピンハネして私服を肥やしているのだろう?貴様の親玉である黒埼から、単なる警備員にしては、随分高額な給料を貰ってるな?」
『ッ!?何故それを!?』
持ち運び用のタブレットで赤井の預金口座を見ながらほくそ笑むタールは「物知りなだけさ」と答えた。
「それからもう1つ。貴様等の美術館のセキュリティは私が乗っ取った。ついでに、監視カメラの映像は生中継で動画サイトに配信されている。遅かれ早かれ警察も来るだろう」
『フ、フザケルナ!!』
「ふざけているのは貴様等だ。芸術作品を冒涜しておきながら、今更逃げられると思うなよ?」
電話越しに怒鳴る赤井を無視して通話を切ったタールは、準備万端の俺と龍太に振り返りながら両手を腰に当てた。
「さぁ行け!悪党共を懲らしめろ!」
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