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間一髪で俺は龍太を庇うと、龍太は「伏せろ!」と言って麻酔銃を構えて発砲すると、赤井の眉間に命中して仰向けに倒れた。
「バカ…な…」
「はぁ…はぁ…ビ、ビビッたぁ…」
「あっぶねぇ…大丈夫か?」
「何とかな…」
その場で俺が立ち上がった直後、パトカーのサイレンが遠くから聞こえてくると、俺達は一目散に美術館を離れた。
…そして、翌日の朝刊からニュースまで、昨日の事件で話題は持ちきりになっていた。
「ナニナニ…"元国会議員、自作自演の窃盗を動画サイトで配信される"か。いい気味だ」
「黒幕だった黒埼は逮捕され、赤井とその手下も、窃盗と詐欺の容疑で逮捕されましたしね。あ、一連の事件に関して、越枝さんと宇田川さんの記録は削除しておきました。盗まれていた美術品も、持ち主に近々返却されるでしょう」
朝刊の新聞を読みながらタールとオイルが歯磨き中の俺にそう言うと、俺は不機嫌気味に振り返る。
「どーでも良いがよ、ここで朝飯食うの止めてくれないか?」
「良いじゃないか。あ、私はフレンチトーストだ」
「私は納豆と鮭とお味噌汁ですね。あ、出来ればお味噌汁の具はお豆腐で」
「ここは定食屋じゃねぇ!」
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