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コイツ、もう嫌いだ。
直ぐにでも帰りたい俺に、啓太は「まだ質問してないんだぜ」と言って店員にコーヒーを注文する。
「実は3年前のひき逃げ事件。俺はこのヤマに一枚関わっていたんだ」
「……」
「それで?」
聞く気になれない俺に代わって啓太の話しを聞く龍太に、啓太は「突然捜査から外されたんだよ」と答えた。
「しかも俺だけじゃない。殆どの捜査官が事件から外されて、半ば強引に本部は解散されてんだ。可笑しいとは思わないか?」
「確かに変だな」
「だろう?で、俺もお前等と同じ、一物腹に抱えてんだ」
そう言った啓太は、懐から一枚の写真を取り出してテーブルに置いた。
「これは…アンタだとして、隣のオッサンは?」
「名前は田中健蔵。俺の先輩だった人だ」
「…だった人?」
気になった俺が啓太に尋ねると、啓太は「殉職したんだよ」と答えた。
「事件を捜査して半年が過ぎた頃、田中さんは帰宅途中に通り魔に腹を刺されてな。怨恨で捜査はされたんだが、何故か絶妙なタイミングで俺は異動をくらったんだよ」
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