第2章 名もなき少女

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「何者・・・とは・・・?」 私は無意識のうちに声が震えていた。彼の瞳には私が人として映っていない。 まるで化け物を見るようなそんな目だ。 彼が何を聞きたいのか、一切の見当がつかなかった。 ついでに彼の質問をの意図を考える途中、私は今ここで起きるまでの記憶が一切ないことに気が付く。 「すいません・・私は今ここで起きるまでの記憶を一切持っていません。 名前も・・・自分の生まれがどこなのかも家族のことも。」 こう告げるしかなかった。 彼は私の返答に肩を少し落としつつも、私への質問の意図をぽつりとこぼしてくれた。 ----曰く、私の体はヒトと大きく作りが違うとのこと。 ・体内に内包しているフォトンの量が明らかに人並み外れている。 ・フォトンの扱いに長けているニューマンであろうと、その量のフォトンを体内に内包してしまえば体が耐え切れなくなるはずなのにそれがない。 そこまで彼はいってから、「最後のこれが問題なんだ。」といって端末をホログラム状態にしてみんなに見えるようにした。 「君は覚えてないようだけど、ジャンヌ・・そこの女の子だね。 彼女が君たちを見つけた際、周りはダーカーの死骸が散らばっていたという。 通常ダーカーは生命活動を終えるときダーカーになりえる因子を周囲の生体に取り込ませる。いわゆる侵蝕だね。 しかし・・・君・・・いや隣の子も含めて一切侵されていないんだ。」 「「!!」」 私には難しい話すぎて半分も分かっていなかったけど、後ろの二人は何かに気が付いたようだ。 ジャンヌさんが恐る恐る彼に質問する。 「つまり、この子たちはダーカーから侵蝕されないっていうことですか?」 男性は彼女の質問にうなずいて答えた。 そして話を続ける。 「通常アークスは体内のフォトンでダーカーからの侵蝕を中和している。 しかし、中和にも限界があるからある程度ダーカーを討伐したアークスは引退するのが通例だ。討伐数は個人差があるけどね、平均2~3万ってところかな。 でも、この子たちはこんなに幼いのに浸食に対する耐性が異常に高い。 おそらく彼女たちは50万・・いや100万体倒そうとダーカーからの侵蝕は一切受けないだろう」 彼がそういうとジャンヌさんは私のことをじーっと見つめて呟いた。
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