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「この子たちにアークスになってもらえばいいんじゃない?」
「「「・・・・・・」」」
私たちは彼女の思いもよらぬ言葉に唖然とした。
すると長身の女性がジャンヌさんを軽くたしなめるように、
「あなたねぇ・・まずはこの子たちの家族を探すことが先なんじゃないの?
それに、この子の将来はこの子が決めるものよ?」
「あ、そうでした。・・・・・でも」
あはは、と笑いながら頭をポリポリと恥ずかしそうに掻くジャンヌさん。
しかし彼女は一瞬で真面目な表情に戻り、私を見る。
その瞳は私を射抜かんとするよう。私の体は一気に硬直した。
「最初にこの子に名前を聞いたってことは、この子についての情報は体をスキャンしても一切出てこなかったんですよね先生?」
「あ・・・あぁ。」
ジャンヌさんの鋭い指摘に男性・・・もとい先生はたじろぎながら答える。
まさかそんな質問が来ると思ってはいなかったんだろう。
さらに彼女は続ける。
「通常このオラクルで産まれたヒトは生後すぐに自分の情報がわかるチップを埋め込まれるはずです。私にだって、先生にだってマスターにだってそれはあります。彼女たちには?」
「・・・埋め込まれていない。ダーカーによって食われているという線は彼女たちが無傷だったところを考えると恐らく無いだろう。」
「なら…おそらく彼女は・・・」
ジャンヌさんがさらにその先を言おうとした瞬間、マスターと呼ばれた女性が
ジャンヌさんに向かって腕を振る。その瞬間腕から何かがジャンヌさんに飛んで行った。
「!!?」
ジャンヌさんは驚きながらもその飛んできたものを指で挟んでキャッチする。
それは、小型のナイフだった。
「それ以上この子たちの前で言うんじゃない・・・この子は自分の記憶を失ってる。
そんな状態でそんなことを告げることがどんなことかあんたにわからないとは言わせない。」
「・・・・・・・・・・わかりましたよ。言い過ぎたことは反省します。」
そこまで言って私に向けていた視線を和らげる。
私の緊張が一気にほどける。
呼吸を整えていると、ジャンヌさんはバツが悪そうに
「飲み物とフルーツでも買ってきます。何か食べたいものある?」
と私に聞いてくれた。その声に一切のとげは無い。
彼女の私に対する警戒が解けたことが分かった私は彼女に対して少しぎこちない笑顔で、
「お任せします。」
と告げた。
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