第1章 二人の少女

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私は、屋上から助走をつけて一気に近くの建物に跳ぶ。 着地の勢いを使ってさらに跳ぶを繰り返し、あっという間に現場に到達した。 (やっぱり・・数が多い・・! というか・・さらに増えてる!?) 屋上から見たときから気づいてはいたが明らかに数が多い。 それだけじゃなく、現在進行形で次から次へと現れるのだ。 通常、ダーカーは神出鬼没である。 しかしながらアークスは空間のフォトンを計測しつつづけることによって 歪みを感知してダーカーの出現位置を予測することが可能としていた。 ところが今回は一切の予測、警告がなかった。 その対応の遅れが恐ろしい事態を招いていた。 (一般住民が全然避難できてない・・・!!これじゃ迂闊に戦えない) アークスの戦いは武器によって長いものがあったり、テクニックやランチャーなどによっては爆発を含むものまで様々である。 それはあくまで周囲に巻き込むものが何もない時だからこそ使えるが、 今回は周囲に住民という守らなければいけないものが存在している。 これは間違いなく戦いを阻害しうる条件である。 (迷っていても仕方ない、取りあえず倒せる奴・住民に危害を及ぼしそうな奴から片付けないと) 目標を決めた私は近くにいたダーカーを一閃で葬り去った。 「元いた場所に帰りなさい・・」 それから5分ぐらいしてほかのシップにいたアークスたちが続々と集まり私のいるポイントのダーカーは大分片付いた。 気が付くと住人の避難もこの辺は大分終わっていたようだ。 (取りあえずここは大丈夫そうね・・ん?) 端末を見ると着信がきている。 相手は私の所属するチームのマスターからだった。 (あ・・私無断で出撃してるじゃん・・ここは無視の方向で) と思いそのまま次のポイントに走り出そうとした瞬間 「育ての親からの通信を無視とはあんまりじゃないか?ジャンヌちゃんよ」 「ギクッ」 ---強制的に通話モードにされてしまいました。 少し悲しそうなマスターの声を聴いて私は少し無視しようとしたことを反省。 走りながら通話用のモード用のインカムを取りつける。 「ジャンヌ、君はそっちに行かなくていいから 今から私の指示するポイントに向かってくれないか?」 「え?」
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