第1章

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 悲壮感に打たれながら、机の上に本を置くと段ボールからホロメイトとコンタクトを取り出す。  コンタクトは片手に握りしめながらホロメイトを両手で持ちあげ、鑑定家のように上から下に舐めるように観察した。  それはこれまでのゲーム機とは明らかに違う形で、電源ボタン以外一切何もない黒い円柱でシンプルな構造をしている。  試に電源ボタンを押してみるが反応はなし電源がついているのかすらわからない。  しかも、よく考えてみればこの手に握っているコンタクトレンズはなんだ?  謎は深まるばかりで解決しない。  要するに使用方法が一切わからないのだ。  頭で考えるのをやめた俺は再度説明書に頼った。  実際全てのページを読んでしまえばいいだけなんだが、800ページある説明書を数時間で読むのは俺の頭では不可能。  だからこうして目次を開けて必要な箇所だけを読み時間短縮をしているのだ。  それに説明書を読まなくても今のゲームならチュートリアルなどもあるだろうからと深く考えずにホロメイトの使用方法を探した。  「ホロメイトの使い方は・・」  指で文字をなぞりながら探す。  「あ あった。225Pか」  そのページを開くとそこには文字がぎっしり書かれていた。  本なんか滅多に読まない俺が…  こんな長文を見たら...うえぇ  吐き気に苛まれながらなんとか読む。  そしてようやくの事使い方を理解できた。  簡単に要約すると  ホロメイトの使い方    ?@コンタクト装着し  ?A部屋の真ん中にホロメイトを置く  ?B起動  と書いてあり俺はその順番に従い起動した。  すると先ほどまで電源ボタンを押しても動かなかったホロメイトがすごい光りを放ち部屋全体を白く包み込んだ。  この白い光はいつまで続いたか分からない。まるで世界そのものになったような不思議な感覚。それは宇宙というべきか。夢というべきなのか...  気が付くと辺りは日が暮れるように、太陽が沈むように暗くなっていく。  俺が見えている範囲全てが暗闇に飲込まれると、だんだんと体の感覚が戻っていき、自分は地面に足をしっかりついて立っているということが分かった。    その瞬間  足元から緑いっぱいの景色が広がり何もない宇宙のような空間を彩った。 「うおおおお」  思わず声を上げた。
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