第1章

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 となると、アルファマか…  ホアキンが持参したタブレット端末で建物の画像を見せてくれた。古びた家を積み上げて作ったように雑多な、だが不可思議なバランスで風景が成り立っている。 「画面やや右に固まった数軒の民家です。比較的状態も良いですし、コネクトして一つの施設にすればそこそこの規模になりますよ」 「立地は?」 「この画像ではわかりませんがサン・ジョルジェ城に近く、高台にあります。テージョ河方向に窓がある建物もありますよ。交通は…歩いて2分ほどでロシオ広場行きのミニバスの停留所が」 「まあまあ、かな」  片岡はそう呟くと端末の中の画像に目をやったまま、皿の上に一つ残っていたナタを右手に取ってかぶりついた。  空いた左手で物件を様々な角度から撮影した画像を指で送りながら確認していく。  片岡の指先が、ある画像の上でぴたりと止まった。  古びた住宅と狭い階段が続く路地。 「これは…この物件からテージョ河畔に抜ける道筋を撮影したものです」
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